jackals and flames

海外サッカー備忘録。Cityzens/アトレティ

1718 マンチェスターシティ選手簡易評 GK/DF編


 前回の記事(しかも書きかけ)から1年が経ってて変な声が出ました。
 なんでも三日坊主な私なんですけど、それにしてもこの一年はあっという間だった。仕事も忙しかったし、シティはうっかり無敗優勝しかけるほどとんでもない快進撃をしてしまうし、ネイマールはPSGに行くし、イタリアが予選敗退するし、拳銃を持って乱入する会長も誕生するし、ついにはヴェンゲルは退任するし。
 まあそんなこんなで今季も簡単に各選手への雑感とツッコミどころ満載の数字をつけていきます。誰も読んでないだろうけど、私が楽しいからいいんだよ。


GK


エデルソン・モラレス 7.5
 正直去年の私に「ベンフィカから新加入の若手GKが大暴れして不動の正GKになるからもう後ろの心配はしなくていいよ」って言ったら狂人扱いしたと思う。だって、私が応援しはじめてからGKが安定したことなんて一度もなかったから(まあハートは常に不安定という点で安定はしていたけど)。
 昨季はとにかく守備崩壊に悩まされたシーズンだった。後述のブラボはメンタルやられて完全に別人になってるし、両サイドバックはさすがに限界だし、ストーンズオタメンディはひたすらわちゃわちゃしてるし、挙句の果てにはコラロフがCBやってるし。いや、最後のは良かったか。それにしても、である。いくら期待の若手としてビッグクラブから狙われていようが、鳴り物入りの値段でやってこようが、さすがにこのブラジル人が簡単にフィットするなんて全く思えなかった。代表ではアリソンのサブをやっているという点も個人的には信用ならない要因だった(なにしろ私が今季開幕前に見たアリソンはちょうど親善試合で派手にやらかしてたので、そこまで才能あるGKだとも思ってなかったのだ)。
 ところがこいつは本物だった。全身のタトゥーも本物だった。まずシュートを止める。いや止めるのは仕事なんだから当たり前なんだけど、ブラボは止めなかったから。さすがに同リーグにいる感情を失ったシュートストップ魔神に比べれば劣るものの、プレミア初挑戦ながらリーグ屈指のセービング技術をいきなり披露。反応もいいし、強靭な体幹で人体に問題ありそうな動きもするし、難しそうに見えるシュートでもキャッチングするし、なんなら片手でも余裕しゃくしゃくにセーブしてた。PKも当たり前みたいに止めてた。文句なし。
 そして足下。いや、マジで上手かった。おそれいった。本人曰くフィールドプレイヤーをやれと言われればできるらしいけど、実際嘘偽りなくそんな感じだった。バックパスは収まるしそこから出すパスは正確だし、プレスを交わしながら浮いた選手を探せるし、適切なポジショニングでパス回しにも貢献した。
 極めつけはパントキック。何だお前は、化物か? 軽い予備動作から破壊音が聞こえそうなほどの勢いですっ飛んでいくボール。しかもこれが完璧な位置に落ちる。アタッキングサード目指して走ってるWGの足下に収まる。中盤でマークが外れた選手の足下にスポッと入る。すごいよペップこれがGK革命なんだね。しかもこの精度のパスが通常のロングフィードとしても供給されるので気を抜いた瞬間に一点モノのパスが頭上を通り抜けてしまうからエデルソンがボール持ったら警戒しなきゃいけないことが一つ増え、相手に選択を迫らせることもできる。うーん、完璧。
 さらにすごいのが強心臓。まことしやかにシティサポーターの間で「エデルソンは脳構造が常人のそれとは違うのでは?」と言われてしまうくらいメンタルが強い。通称恐怖の感情を失った男。飛び出すGKというのはもうトレンドを過ぎたここ数年でも見飽きるほど見てきていささか食傷気味だったのだけれど、彼には久しぶりにワクワクさせられた。なんというか、死地に飛び込む男なのである。とにかく何でもチャレンジする。そして毎回タイミングは完璧そのもので、確かに試す価値はあるというプレーを選択する。飛び出すGKというのは下手なやつがやるとただの博打打ちの自爆になり、見ている側としては非常にイライラするのだが(アーセナル時代のシュチェスニーとか、シャルケのフェアマンとか)、エデルソンはちゃんと勝算があるところでしか行かない。そして勝算があると踏んだら躊躇しない。例え相手FWのキックが顔面に直撃して担架で退場しようとも、である。この一件でさすがに落ち着くかと思いきや復帰試合でヘッドギアつけたまま即飛び出してて変な笑いが出た。あといつだったかオタメンディごとボールをクリアして吹っ飛ばしておきながら涼しい顔してたのも笑った。味方は壊すんじゃないぞ。
 真面目な話、一番評価できるのは彼がこのパフォーマンスをシーズン通して披露してくれたということである。当たってるときはすごい選手というのは多くいる。現に我らがジョー・ハートだって当たってるときは間違いなくワールドクラスのプレーができた。一流の舞台で戦ってる選手というのは皆一流のポテンシャルを持っているものである。難しいのはそれを継続、安定させることで、特にGKというのは毎試合同じだけプレーに関与できるとは限らないし、連携のための仲間だって固定されないし、勝てば当たり前負ければ戦犯と一貫性を保つのが最も難しいポジションであることは間違いない。でもエデルソンは今季、素晴らしいパフォーマンス一貫して見せてくれた。何よりそれが素晴らしく、誇らしいのである。
 シーズン終了後即長期契約も決定。これから長くお世話になっていきたい選手だ。ありがとう、エデルソン。これからよろしく、エデルソン。

 

クラウディオ・ブラボ 6.0
 まあ昨季のことは忘れよう。ブラボにだって同情の余地はあった。だってイングランドは気候が最悪だし、偏屈で完璧主義な指揮官のもとで相反してのほほんとしたDFラインと言語問題で苦心しながらコミュニケーションしなきゃいけないし、俺達の息子(ハート)を追い出しやがってみたいな批判はどうしてもされてしまうし。そういう点を考慮しても彼のパフォーマンスは褒められたものではなかったが、まあさすがにイップスだったよね。今季は控え兼カップ戦要員としてのプレーを余儀なくされながらも、限られた出場機会で持ち直した姿を見せてくれた。自動ドアじゃなかったし、地面に足がついていたし、カップ戦ではチームを救うセーブを連発してくれた。腐っても3冠GKである。ペップと明らかに確執ありそうな態度はとりつつも、クラブのために忠義を尽くしてくれたことには心から感謝したい。来季どうなるかはわからないけれど、このクラスのGKが控えにいるというのは普通にとんでもないことなので、できれば残って欲しいとは思う。
 しかしエデルソンより早くアシスト記録したのは笑ったよね。触発されたのかしら。

 

ダニエル・グリムショー ―
 トップチーム帯同でよく写真に紛れ込んだりしていたけど、特に出場はなかった。まあアンダーの選手だしね。プレーは見ていないのでなんとも言えない。

 

アリヤネト・ムリッチ ―
 こちらも試合に出てないので詳細は不明。代表戦で頭突きして退場してたのは知ってる。

 

 


DF

 


バンジャマン・メンディ 5.5
 いきなりシーズンの大半いなかった選手の話ではじまるんですけど、まあいなかったよね。SNSにはずっといたけど。というか賑やかな選手だとは思っていたけど、最初の一ヶ月過ぎたくらいから「こいつもしかしてマジモンなんじゃないか?」という疑惑が払拭されないまま来てしまったよね。ツイッターで「俺がデルフに守備教えておきますよ」と公式アカウントにリプライするわ、適当な飛ばし情報をつぶやいた記者アカウントに「俺も検査してないんだが?」とツッコんで晒し上げるわ、シャークチームシャークチーム言いまくって公式に逆輸入させるわ、リハビリ中なのにしょっちゅう試合後のピッチやインタビュー乱入するわ、もうやりたい放題。お前時代が時代ならやばかったぞ、本当に。
 そんなことはさておき、負傷離脱するまでのプレーそのものはすごかった。すげー走るし気合入った守備するしなんか足下クソ上手いしあっという間にフィットしてバシバシ連携するし最高速で加速しながらピンポイントにクロス飛ばすし。こなせるタスクの量が尋常じゃなかった。なんというか自分をメッシだと思い込んでるヘスス・ナバスって感じだった。試合に出る度にあらゆるサポーターが「なんだこいつは!?」って驚愕するくらい目立ってた。ぶっちゃけシティサポが一番ビックリしてた。コラロフとクリシからこんな近代兵器になったから気分はスマホもったおじいちゃんよ。
 とにかく走る大器みたいな感じだったのでこのまま伸びたら手がつけられない化物になるのでは? と期待を集めた矢先シーズンアウトレベルの大怪我で離脱。天国と地獄。まあおかげでデルフは覚醒したしジンチェンコにも出番はできたし、メンディもSNSに専念できたし人生そう悪いことばかりじゃないね。優勝決定後にようやく復帰したが、さすがに試合勘がなさすぎてキレキレだった頃ほどのすごさはなかった。まあ本番は来季でしょう。
 ペップに怒られない程度に来季も楽しませてください。

 

ヴァンサン・コンパニ 6.0
 そしてこちらの方もやっぱりいなかったですね。まあ今季に限った話じゃないんですけどね。
 とはいえ彼の才能に関してはもはや疑う余地など一点もなく、試合に出れば圧倒的なパフォーマンスを示してくれた。とにかく頼りになるキャプテンコンパニ。リバポにボコられた試合以外は。
 なんかもう毎回同じことを言って恐縮なんですけど、彼とクラブの蜜月も残り長いか短いかで言えば確実に短くなっているので、一日でも長くプレーして私達に応援させてください。あとストーンズに守備教えてあげてください。

ニコラス・オタメンディ 7.0
 逆にオタメンディはめちゃめちゃいた。っていうか八面六臂の大活躍でついにベストイレブンになっちゃった。
 昨季もすごい伸びたなって感じだったんですけど、今季はもっとすごかった。後ろや両サイドが安定した影響なのか、危険の目を摘み取る守備センスはさらに向上。パスもガンガン通してたし、ポジショニングも良かったし、デュエルの安定感もすごかった。たまに持ち上がってビルドアップする時も貫禄に溢れていた。変われば変わるもんだな。とはいえ今季は圧倒的に押し込んでる展開のほうが多かったため、DF陣全体に言えることではあるんだけど劣勢に転じた時にそれまでの余裕が嘘のようにバタついてしまうところだけは改善点かも。
 でもとにかくよかったよね、オタメンディ。私は昨季から「いやこれシティじゃなかったらトップクラスのCB候補って言われてもおかしくないんじゃないか?」と思っていたんですが、ようやく正当評価されてきたなという感じ。来た当初はあんなに危なっかしかったのにね。そもそもCBというものは現代ではあまりに役割が多すぎるためどうしてもチームが勝ってるか負けてるかに引きずられて個々の評価をしにくいところがあり、一定以上の水準を持っていれば最終的には優勝したメンバーだからという印象論だけでネームバリューが作られがちなところがあるのだが(あえて個人名は出しません)、ようやくオタメンディにもそういう箔をつけられたなという感じ。
 来季以降の問題は安定しない相方ですね。ロマンのストーンズか、稼働率に期待できないコンパニか、期待の新星ラポルトか。私が言えるのは、それが誰になったとしてもオタメンディに関してはもう安心して見ていられそうだなということです。何がって、怪我しないところがね。

 

ジョン・ストーンズ 6.0
 かつて、ジョー・ハートという男がいた。毎回ハートの話して申し訳ないんですけど、私は大好きだったので許してほしい。まあ別にハートじゃなくてもいいんですけど、サッカー界には活躍するときは獅子奮迅、やらかす時は阿鼻叫喚といういわゆるガチャタイプの選手がいるのだ。今日はSSRだったので理不尽なほどの活躍で勝ち。今日はRだったので戦犯になって負け。偶然だろうとなんだろうと試合を一人で決めてしまうほどのプレーができるというのはやっぱり才能の証明であり、不安定だろうと若かろうと私達はその姿につい期待を背負わせてしまう。そして彼らガチャ選手の多くに当てはまる特徴は、若くてポテンシャルに溢れたイングランド人ということだ。
 じゃあストーンズはというと、まあそういった例に漏れず私達好みの選手なのである。ところが今季前半、彼は突如確変状態に入った。今だけSSR封入率100%になったのだ。いや、すごかったよ。びっくりするほど守備はキレてるし、ポジショニングは完璧だし、得意のパスも冴え渡ってるし、ゴールまで簡単に奪うし。過剰に高まっていた期待にこたえるあまりかシティにストーンズありと試合相手を絶望させるレベルだった。期待の若手から世界屈指の選手に一夜にして化けた彼に、シティサポは夢中になった。そして、壊れた。
 この後の話は彼の名誉のために語るべきではないのかもしれないが、復帰後はすっかり元のストーンズに戻ってしまっていた。解けない魔法はないし、SSR100%恒久提供なんてガチャはビジネスとして存在しないのだ。それでも最低限の仕事はしていたし才能の片鱗も変わらず見えるのだが、煌めくような守備と存在感は失われてしまった。兄弟分(?)のラポルトも来てしまったことだし、来季は今季前半の勘を取り戻せるかが将来を大きく左右しそうだ。
 本当になんだったんだろうねあのスーパーストーンズは。


アイメリック・ラポルト 6.0
 ついにこのときがきてしまった。一度は移籍話を蹴って契約延長し美談を作った男、満を持して冬市場で電撃加入。しかもまたもやニューレコードの移籍金で。大本営発表まで「来るわけねーだろ!!!」と思っていた私のような天の邪鬼なサポーターは驚きのあまり毎秒ツイート検索をする羽目になった。で、ラポルトって結局どういう選手なの!?
 識者曰く、「スペイン版ストーンズ」「むしろイングランドラポルトストーンズ」。
 はい、解散。
 と、ここで終わればいつものシティCB爆買い伝説に新たな黒歴史が刻まれるだけだったのだが、なんだろう、思ったより良かったね彼。前評判どおり足下は上手い。バスク人らしい柔軟さと鋭さを持っており、相手の嫌がるところにほとんどノールックで爆撃のようにパスを通す。ストーンズとの違いはより攻撃的なパスを得意とするところかな。そして守備もまあ悪くない。むしろひどい時のストーンズより安定してるまである。加入していきなりスタメンで出てきてペップお前ほんまそういうとこやぞ、と胃が痛くなったけど、驚くほど馴染んでいたのも素晴らしい。オタメンディと並んで走り回り地面をビタンビタンしているストーンズと比べると、彼はそこまで機敏ではないものの気の利いたポジショニングをしながら堅実な守備をするタイプのように見える。悪目立ちしないというのは良いCBに必要不可欠な要素なので、例え地味であろうがやらかさない限りは良いのである。いや、本気でCL狙うんならそれだけじゃ足りないんだけどね。
 総評して、途中加入でやってきた若手ながら予想を超える働きを見せてくれたと思う。まだワールドクラスには遠いが、才能は間違いなく本物。シーズン通してどうなるか見極めるためにも、来季は注目していきたい所存。ストーンズも彼には触発されるだろうし。
 ラポルトストーンズの恐怖のCBラインに関してだけ言えば、来る前は絶対に嫌だったけど今はちょっと見てもいいかなって思ってるよ。ちょっとだけね。

 

エリアキム・マンガラ
 マンガラという選手、私実は結構好きなんですよね。だってほら、なんかロマンあるじゃないですか。フィジカルはあるし、真面目だし、なんか名前も強そうだし。移籍金もね、すごかったんですよ。案の定上手くはいかなかったけどね。
 それでもペップに人一倍真面目だったと言われるだけはあり、プレシーズンマッチなどでパス回しに適応してみせたりビルドアップもちょっとできるようになっていたりとちゃんと成長はしていた。でもやっぱりスタメンになれるほどではなく。ラポルトの加入により出番を求め救世主になるべくエヴァートンに移籍するも、僅か2試合目にしてシーズン終了の負傷離脱。フランス代表にも招集外となり、来季はさすがにどこかに行ってしまうと思われる。
 結果的には彼の移籍は失敗に終わったと言われてもしょうがないのだけれど、それでも加入から2シーズンの間は薄いDF陣の中で貴重な戦力として頑張ってくれていたことは忘れないようにしたいと思う。
 ありがとうマンガラ。あとこのインタビュー本当に好きだったよ。どこかで復活してくれたら嬉しいな。
https://qoly.jp/2015/05/01/eliaquim-mangala-talk-about-his-brother


トシン・アダラバイヨ ―
 残念ながら試合で見たことがないので評価不能。私動くアダラバイヨのこと、これまで合計30分も見てない気がするな? 出ていってもデナイヤーみたいになりそうだし、かといって残ってても未来はなさそうだし、若手厨としてはこういうユース選手見ると寂しい気持ちになる。強くなるって難しいことなのね。

 

カイル・ウォーカー 7.0
 私、昨季終了後は本当に悲しかったんですよ。何がって、サバレタの退団が。いや、サバレタだけじゃなくてサニャコラロフクリシサバレタっていうこれまでシティを支えてくれたSB陣の一斉退団が、心の底から悲しかった。限界も明らかだったし強くなるためには仕方ないとはいえ、こんなに悲しくなるのなら誰も来ないほうがいいって珍しく後ろ向きになってた。
 で、ウォーカーが来たじゃん? 最高かよ。おい、最高かよ。最高だよ、三回言うよ。都会のにいちゃんたちはこんなにすごいサイドバックちゅうやつを使ってたんか? おらたまげて心臓止まるかと思ったべさ。
 スパーズで何回も見ていたとはいえ、この選手が代表でもクラブでも不動のスタメンでありベストイレブンにも選ばれるほどの評価を受けているということを甘く見ていた。そしてそんな選手がペップ・グアルディオラの下でどうなるかも。いや、とんでもなかったね。まあ脚がとにかく早い。苦し紛れのSBコンバートされてたナバスより早い。しかもそのままドリブルしてハーフライン超えてバイタルまで行ける。そしてこれだけ早いのでライン上げてたところにカウンターされても余裕で間に合う。しかも思ったよりずっと頭いいし技術もあったんだわこれが。うちの武器であるパスワークにも普通に馴染める。WGやIH使ったワンツーのコンビネーションもできるし、なんならそのまま中か外使って追い越しながら決定機に絡みに行ける。フィジカルも強いから全然ボール取られない。視野もそこそこあって気の利いたプレーもできる。そして無尽蔵のスタミナ。アホみたいに90分走り回った次の試合もアホみたいに走り回れる。そりゃスパーズにいたんだから当たり前なんだけど、いやびびったね。
 でまあ彼の面白いところは意外と幅の広いプレーをできるにも関わらず、最終的にフィジカルゴリ押しになるところ。そしてフィジカルで本当に完遂するところ。え? しかも3バックのCBまでできちゃうんですか? そりゃお前、助かるなんてもんじゃねえぞ。
 誇張抜きで真面目な話、一流の現代的なSBがチームにやってくることによって世界がどれだけ変わるかを思い知らされました。しかも壊れないし。もちろん悪い時はあったし完全無欠ではなかったのですが、極めてコンスタントに貢献してくれました。
 今季シティの躍進の理由に関して語るのは要素が多すぎて難しいのですが、その一端は確実にこのスーパーマンにあったと思います。取ってよかったカイル・ウォーカー。名前に反して全然ウォークしないぞカイル・ウォーカー。まだ若い選手だし、このままさらに成長してプレイの幅が広がり判断がよくなったらどんな化物になるんでしょうね。
 ところでこうなると反対のサイドを切り裂くメンディとの比較が気になるところですが、クロスが上手いのがメンディで、クロスが宇宙開発を超えた何かなのがウォーカーです。シティサポ以外の方は覚えて帰ってください。シルバのクソミドルに匹敵する何かだよあれは。
 しかし獲得前後のスパーズサポによる謎のトリッピア上げとウォーカー下げはなんだったんだろうね。

 


ダニーロ 6.0
 この選手にも私はごめんなさいをしなきゃいけない。いや、だって昨季レアルの時は全然パっとしないパフォーマンスで、ぶっちゃけ穴レベルだったんですよ。だから獲得したって聞いた時は「いやまあ腐ってもレアルで二番手やってた選手だし、複数ポジションできるし、若いし……」と自分に言い聞かせてなんとかやり過ごしていたのですが、うん、思ったより全然良かったね。
 競争相手がウォーカーなのでさすがにスタメンになるほどではないのですが、まあ無難。ブラジル人らしいプレーとスペイン産らしいプレーが混在している動きは面白いし、そつなく守備するし、試合を壊すようなやらかしもないし。上手く行ってる時は主力を休められて、上手くいってない時は主力を休められる。あれ? 左足が使えないので左での起用は望めないが、緊急時の補充としては十分役に立った。そしてありがたいのは腐らないこと。出場機会求めてきたみたいな話でこれ絶対上手くいかないじゃんと危惧していたのですが、今の所スーパーサブの扱いながらすごく真面目にやってくれてとても助かっています。
 このクラスの選手を控えとして置いておけるというのはかなり理想なので、関係さえ悪化しなければこのまま長く付き合っていきたいところ。どこかで左もいけるようになればスペ2人の代わりに出番はあるだろうしね。ウォーカーの控えがいないことを考えても必要不可欠な存在です。来季もよろしく。