jackals and flames

海外サッカー備忘録。Cityzens/アトレティ

マンチェスター・シティ 1617 選手シーズン簡易評 守備陣編

筆者はにわかなのであまり期待はしないでください

 

GK

ウィリー・カバジェロ 7.5
 某正GKの惨憺たるパフォーマンスとは対象的に、急な起用でありながら安定したセービングで守護神として君臨した。以前よりスクランブル出場時の安定感には定評があったが、今季は長いスタメン期間中もフィットネスを見事に維持。さらに戦術上必要となる最終ラインのパス受け渡し場所の一角としても「カバジェロは良いGKと言っても現代的な足元の技術は起用レベルにないのでは?」という大方の予想を裏切り期待以上の働きを見せてくれた。元より控えレベルにするには余りに惜しいと囁かれていたが、ここにきてサポーターの心に残る大活躍を思う存分見せてくれた。カバジェロさん、あんた最高にかっこいいよ。そんな彼だが契約終了を期に退団が決定。本人も延長を望んだらしいが編成上の都合を考えるとこれ以上の保有も難しい(カバジェロに依存してしまうのもそれはそれで怖いし)。年齢的にもう一花咲かせるのも不可能ではないはず。ライトに続きシティのゴールポストを支えてくれた功労者がまた一人旅立っていきました。ありがとうウィリー。私たちのスーパーキーパー。

 

クラウディオ・ブラボ 4.0
 押しも押されもせぬ3冠GK、そしてチリ代表としてもコパ・アメリカでタイトルを獲得。元バルサということもあり即戦力として誰もが熱い期待を寄せた。ハートには悪いが彼より適任はいない。これで3年は安泰だ。そんなサポーターの浮かれ気分に水を指したのは他ならぬ彼であった。デビュー早々にハイボールの処理ミス、危なっかしい足元、ぶち抜かれるニア。人々の頭によぎった「え、こいつもしかして中身はハートなんじゃないか?」という感想。いやいや、そうは言っても腐ってもクラウディオ・ブラボ。言語の問題もあるし、プレミアに適応すればいずれそのポテンシャルを遺憾なく発揮してくれるだろう。悪い話も聞かないしきっと一生懸命頑張ってくれてるんだから信じよう。さて皆様その後の展開は誰もがご存知でしょう。失点、失点、また失点。最悪のセーブ率。プレミア屈指の自動ドア。ボールを持てば不安定過ぎるプレイ。「ハートの方がマシだった」という不名誉過ぎる評価とともにカバジェロにポジションを奪われると、最後は一瞬かつての片鱗を見せた瞬間に負傷離脱してシーズン終了。いくらなんでも巡り合わせが悪かったのだろうが、それにしても災厄のような男であった。そもそも言語の問題があるって言ってもシティってスペイン語話せる選手たくさんいねえか? 擁護できる点はそれなりにあるのだが、とはいえ彼が期待の半分でも働いてくれれば今季もっと楽な展開になったのは間違いない。さらばブラボ。君のことはたまに思い出そう。……移籍してくれるよね?


アンガス・ガン -
 みんな大好きユース産、将来の守護神ガンくん。今季はベンチに座ったりリーグ戦以外で顔見せしたり。すくすく育っていつか正GKになってほしいところです。色々な先輩の姿を見て勉強して欲しい……反面教師とか。


ジョー・ハート -
 悲喜こもごものオフシーズンを経て今季はトリノへレンタル。競争相手が相手だから仕方ない、きっと彼ならビッグな男になって戻ってくるはずだ。そう言って私たちサポーターは拍手で見送りました。その後の行方はようとしてしれず。一説によるとブラボに取り憑いていたらしい。こうなると売っておいたほうがよかったのではと思わないでもない。同じプレミア産愛すべき出たとこ勝負GKとして有名なシュチェスニーはなぜかローマで飛躍してしまったのが皮肉。ああ、ハートよどこへいく。

 


DF

バカリ・サニャ 5.0
 長い間サイドを支えてくれたクールな彼も気づけば34歳。年齢もそうだがペップの志向する高度な戦術とトランジションには完全に適応していたとは言えず(それでもある程度起用にこなしてはいたが)、ストロングポイントであったアジリティの低下も相まってむしろ相手に狙われる局面も多かった。しかしながら慌ただしくテコ入れされるDFラインにおいてなくてはならない人物だったのも確かだ。他の功労者と共に今季で退団が決定。今までありがとう、改めて言うけどサニャさんの髪型すごく好きだったよ。

ヴァンサン・コンパニ 6.0
 我らがキャプテンコンパニ。今季はその有り余るキャプテンシー故か、あるいはアグエロシルバがわりと負傷が少なかったツケを一心に引き受けていたのか、シーズンのほとんどをリハビリで消費。ようやく試合に出てはすぐにまた負傷し、会見の度にペップが「コンパニはそろそろ試合に出られる」を連呼するのが恒例行事となっていた。そろそろ間に合わないのではないかと皆が思う頃ようやく実戦に復帰。しばらくはまた離脱するのではないかとハラハラさせてくれたが、そこはやはりコンパニさんで試合に出れば圧倒的なパフォーマンスで存在感を発揮し、シティにコンパニありと改めて示してくれた。本当に、負傷さえしなければ世界有数のCBであるのだが……ボロボロだったDFラインに一試合でも多く出場していればもっと勝ち点は多かっただろうにと思う一方で、彼が離脱していた影響でオタメンディコラロフが覚醒したのも事実なので、なんとも判断に困るシーズンであった。とりあえずストーンズに色々教えてやってくれませんか。

パブロ・サバレタ 5.5
 熱狂的なファンを多く持つシティの人気者サバレタさん。今季もその愛嬌でおおいに沸かせてくれたが、一方で他のベテラン陣と同じく年齢の影響と現代的なサッカーへの相性の悪さが見え隠れ。コンディションがいまいち安定しなかったのも相まってお世辞にも輝けたシーズンとはならなかった。しかしいくつかの試合では途中出場で見事な救援を見せてくれたことは書いておきます。そんなサバレタさんも今季でやはり退団。先立って宣言したこともあってかセレモニーを開催し盛大にサポーターに送り出された。どうかお元気で。

アレクサンダル・コラロヴ 6.5
 タイムスリップして開幕前の人間に教えたら狂人扱いされそうな物事がたくさんあった今季。その中でも最たるものがCBコラロヴであろう。正直言って個人的には全く理解ができなかった。お世辞にもSBとしてすら最低限の守備力を発揮できていなかったコラロヴが、よりによってより守備が必要になるCBに? いくら人材不足といってもペップさすがにご乱心なんじゃないか? (Youtubeのプレー集だけ見たのか?) そして数々の不安と共にお披露目された彼は、なんと、まともだった。もちろん守備は相変わらず軽かったが持ち前のキック技術がビルドアップ時のパスとして見事に開花、最終ラインからノータイムでスターリングやサネの足元に飛んでくるロングパスは相手にとって非常に脅威になった。そしてCBを経験したことでなぜか後半戦は守備力も向上。SB起用時も十分な働きを見せ、今度は端から端まで飛んで行くようなトンデモサイドチェンジを連発。見事に底からゲームメイクに貢献するいぶし銀選手に変貌した。いや絶対むりだと思ったよ本当。そしてベテラン守備陣の中でただ一人残留(記事執筆時点の話です)。コラロヴがシーズン通して出場してCBやるし、コラロヴ以外全員対談するよ。こんなことを開幕前に主張したら病院送りかアーセナル送りだっただろう。いやはや。


ガエル・クリシ 5.5
 地味にHGを持ち実は器用だけど割合大雑把なプレイをすることでお馴染みクリシさん。今季も地味に器用に大雑把に活躍してくれました。何かと引き出しの多い選手なのでペップの戦術におけるSBのタスクには恐らく一番適応できていたと思われる。一方でますます激しくなる球際の攻防にはやや遅れを見せ、ビルドアップの参加もいまいち安定せず(ボールをもっていないところでは実に積極的であり、それが効果的に働いた場面ももちろんあった)、後半はややパフォーマンスが低調になってしまった印象。それでも他の選手と同じく、今季なくてはならない戦力でした。そんな彼もやはり退団が決定。新天地に行っても「実は元シティ優勝メンバー」くらいの地味な紹介をされそうだが頑張って欲しい。

 

ジョン・ストーンズ 4.5
 やりすぎとも見る目なさすぎとも言われるここ数年のシティのCB爆買い。その最後にして最高の補強と言われたのがこの若くして頭角を現した大型CBの獲得であった。不動のスタメンとして同じPLのクラブで躍動、足元も上手くビルドアップにも参加できる、そしてイングランド人。うむ、なんてペップシティ向けの選手なんだろうか(でもスタメンと言ってもエヴァートンの守備レベルだぞ?)。獲得時にはそれはもうお祭り騒ぎになったものだった。さて、蓋を開けてみると確かに前評判通り足元が上手い。守備もまあ無難にこなす。空中も強い。少し危なっかしいところもあるが連携が高まってくれば安定してくれるのではないか。そんな思いをよそにストーンズファンタジスタ(悪い方)の才能を開花させてしまうのであった。とにかく判断が悪い。詰めるもコース切るも中途半端で、アリバイ守備にしかなっておらず、挙句の果てには手遅れになってから申し訳程度のスライディングを敢行するためただの1対1のチャンスを提供するハメになることも多数。今季の失点の殆どはストーンズのお粗末な対人守備とブラボの自動ドアのせいである。とはいえ彼もまだ若く、全体的な完成度としてはそう悪くなく、高いポテンシャルを秘めているのも事実であり、伸びしろがあるのは確かなところだ。たくさんお金もかけたことだしもう少し長い目で見守ってやりたい。とりあえず守備はもうちょっと改善してくれ。頼むから。


ニコラス・オタメンディ 6.5
 ご存知CB爆買い列伝がひとりDFラインのアイドル、ニコニー。彼に関して言えば移籍時よりファイターとしての素養を買われていたため、コンパニの相方としては実にふさわしいパフォーマンスを当初より披露してくれていた。相方がコンパニであったなら。1対1にとにかく強くボール奪取能力も高いため頼りになる選手なのだが、シティはいかんせん守備陣が安定しなさすぎた。悪くないけど特筆するほどキーマンでもないといった評価に落ち着いていた昨季であったが、そんな中今季はペップの就任による守備戦術の変化、壊れ続けるコンパニ主将、CBコラロヴという気の狂った采配、自動ドアと化す3冠GK、白くなったマンガラ、そんな阿鼻叫喚のDFの中なんと彼は目まぐるしい成長を遂げたのであった。熱くなりすぎるという欠点は相変わらずなのだが、守備力は純粋に向上し決定機の潰し役としては圧倒的存在感を発揮。また、何があったのかはしらないがビルドアップにも参加するようになり地味に上手い足元の技術を発揮することも多々。ストーンズさすがやるじゃんと思ったらよく見たらオタメンディだったなんてこともしばしば。最終的にはコラロヴと並びDFの良心であり続けた。負傷が少ないことも素晴らしい。あとは守備陣のリーダーになれる選手が別にいてくれれば安泰なのだが。今季の彼は頼もしかったです、ありがとう。